五月の三重、絶好のサイクリング日和

五月のとある日曜日。亀山駅近くの駐車場に車を滑り込ませたのは、朝八時半ごろだった。

自転車を下ろし、空を見上げる。
青い。暑すぎず、寒すぎず、ちょうどいい気温だ。
……こんな日にサイクリングができるのは、純粋にありがたい。

亀山駅でトイレを借りて、さぁ出発。
今日は久しぶりに八十キロを超えるロングライドだ。

まず向かったのは亀山公園。
坂道を登っていくと程なく到着する。
本日一枚目のポケふたは、亀山市歴史博物館のそば。
自転車を並べてパチリ。

菰野の茶畑と、御在所を背に走った午前

県道302号線を北上し、菰野へ向かう。

しばらく走ると、山の斜面を切り開いた茶畑が現れた。
整然と並ぶ茶の列、その緑がまぶしいくらいに鮮やかだ。
青空との対比が、またいい。

サイコンが車の多い幹線道路と住宅地の細道を器用につないで案内してくれる。
こいつがいないと、こういうルートはまず走れない。

菰野町の中心地に差し掛かると、前方に御在所山がどっしりと構えていた。
「子供が小さいころ、ロープウェイに乗ったなぁ」……思わずひとりごちる。
あのころから、もうずいぶん経つ。

菰野町役場近くの公園で、本日二枚目のポケふたを発見。自転車と一緒に収めた。

四日市・隆座のとんてき〜キャベツの山に圧倒される〜

菰野をUターンし、イオンタウンで東へ。
四日市へ向かいながら、腹の虫と相談する。
「四日市といえば、とんてきだろう」
松本街道から少し南に入ったところに、目当ての店・隆座(たかくら)がある。
混むと聞いていたので、十一時過ぎに着くよう急いでペダルをこいだ。
11時20分ごろに到着すると、すでに店前に六人ほどの列。
「……しまった、出遅れたか」
並ぶのは性に合わないが、せっかくここまで来た。
腹をくくって列に加わる。
四十分ほど待って店内に入れたのは、12時過ぎだった。
自動券売機でとんてき(シングル)、小ライス(130グラム)、味噌汁の食券を購入。
しめて2,100円なり。
セミダブルにしようかと一瞬迷ったが、思いとどまった。
それが正解だった。
カウンターに腰を落ち着けて五分ほど。
運ばれてきた皿を見て、思わず目を丸くした。


キャベツの山が、そびえている。
千切りキャベツが皿からはみ出さんばかりに盛られ、その頂上に紫キャベツが鎮座している。
セミダブルにするとキャベツも増量だという。
「……いったいどんなことになっていたのか」と、想像するだけで恐ろしい。
まずキャベツから手をつける。
柔らかく、濃いとんてきのたれがたっぷりかかっているので、むしゃむしゃと箸が進む。
いつの間にかキャベツが主食になっている。それもまた、悪くない。
とんてきは厚さ十ミリほど。
噛むと適度な抵抗があり、それでいて柔らかい。
脂の部分が特によく、ごはんが進む……いや、キャベツが進む。
小ライスにしておいて、本当に良かった。
ニンニクがたっぷりきいたたれは、コクがあって深い味わいだ。
添えられたニンニクが六個ほど。
これがまた柔らかく甘くて、旨い。
満腹満腹。キャベツのおかげで、罪悪感はゼロだ。

海風から鈴鹿へ、そして亀山へ帰還

腹を満たし、さぁ午後の部スタート。
すぐに四日市市中央緑地公園に到着した。
スタジアムでサッカーの試合があるらしく、外まで響く応援の声が凄い。
キッチンカーも出て賑わっている。
ここで本日三枚目のポケふたを発見。


そこから南東へ進んでいくと、ふいに潮の香りがした。
「……近くに海がある」
それだけで、なぜかワクワクする。海沿いの道に出ると、潮風が心地よく体を包む。


しばらく海沿いを走ったり住宅地に戻ったりを繰り返しながら南下していくと、鼓ヶ浦(つづみがうら)海水浴場に着いた。
まだ五月なので海水浴客の姿はないが、浜遊びやバーベキューを楽しむ人たちがちらほら。白い砂と青い空と海、松の緑が美しい。しばらく浜辺で足を休めた。


この時点で、すでに六十キロ以上走っている。
膝が、じわじわと危険信号を出し始めていた。
すぐそばの伝統産業会館で四枚目のポケふたを回収し、山側へ向けて気合を入れ直す。


鈴鹿サーキットへ向かう道を進んでいくと、エンジン音と歓声が聞こえてきた。
サーキットとサーキットパーク(遊園地)の間を突き抜ける「サーキット道路」の坂を、脚を唸らせながら登っていく。
鈴鹿青少年の森の小路を抜けると、遊具エリアの脇に本日最後のポケふたを発見。


あたりには小さな子供たちの笑い声が満ちていて、それを見守る親たちの穏やかな顔が並んでいる。……なんだか、自分の心も少し満たされた気がした。
公園を後にして、残りは亀山まで十キロほど。
住宅地の細道と幹線道路をつなぎ、じわじわと亀山に近づいていく。
最後の登り坂をなんとかこなし、長い下り坂を下り切ると、朝のスタート地点に戻ってきた。
膝はかなり悲鳴を上げていたが、なんとか走り切った。
自転車を車に積み込み、気分よく自宅へ向けてハンドルを握る。
途中で買った炭酸水を一口。喉に、じんわりと沁みた。

走行時間 4時間54分
走行距離 84.9km
獲得標高 577m